2025.03.31調査研究

トイレ空間の衛生器具及び排水システム系統からの感染要因とその防止に関する研究

研究代表者:大塚雅之(関東学院大学)

本研究は、トイレ空間の衛生器具及び排水システム系統からのウイルス等による感染要因と対策について、実験的に検証し、衛生管理に資する知見を情報提供することを目的とする。
トイレ空間においては、汚物等にウイルスが含まれる場合、洗浄時に発生するエアロゾル中にそれが含まれ、呼吸域で人が吸引することで感染リスクがあることが指摘されている。そこで換気設備を有するトイレブース形状(換気有)や大便器の種類の違いによる洗浄時の飛沫、エアロゾルの発生量・分布を把握し、それらに含まれるウイルスが呼吸器へ入ることによって起こる感染症の防止に資する基礎的知見を得る。また、高層集合住宅において、ウイルスによる集団感染が問題視されており、香港の高層集合住宅ではSARS-CoV、広州の高層集合住宅ではSARS-CoV-2により感染症が拡大した。特に、排水立て管系統に接続された浴室内の破封したトラップが感染経路となり、ウイルスを含むエアロゾルが室内に侵入したことが要因とされている。その拡散要因としては、排水立て管内及び排水通気管内の温度差による上昇気流、排水負荷による圧力変動、浴室系統の換気などが考えられる。しかし、わが国においては、これらの詳細は明らかにされていない。よって排水時に発生する管内圧力変動や管内の気流及び浴室換気扇による排水立て管内のエアロゾル等の拡散状況を把握し、それらが住戸内へ侵入する可能性を検討する。これらの課題点に対し、基礎的な実験を中心に検討を行い、建築物の衛生管理と維持管理に資する知見を得る。以上の情報を公開し、提供するものである。

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