2018.04.27調査研究

チカイエカの忌避波長

主任研究者:谷川力 (イカリ消毒株式会社 技術研究所)

チカイエカは典型的な都市害虫で、北海道から九州まで分布する。和名が示すとおり地下の水域、古井戸、地下鉄構内の水たまり、ビルなどに設置されている地下の水槽などから発生する。防除方法として、近年、農業分野では赤色光の密度抑制効果が注目されている。また、実際の建築物内で発生するチカイエカは薬剤抵抗性であることがあり、薬剤抵抗性の個体についても同様の試験が必要であると指摘されている。そこでチカイエカの忌避波長を明らかにするために、単一の波長ピークを持つLED照明(365nm(紫外)と630nm(赤))を用いて捕獲試験を行い検証した。

その結果、薬剤感受性のチカイエカと薬剤抵抗性のチカイエカで異なる結果を示した。薬剤感受性は紫外と赤に対する嗜好性が低い結果であった。一方、薬剤抵抗性は紫外では嗜好性を示したが、紫外と赤とのブレンド光には忌避的な反応を示した。これらの結果から、赤色LED光源のみでは誘引源として働くが、誘引光(本研究では紫外)とのブレンド光にすることによって忌避的に作用する可能性が示唆された。

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