2024.05.01
居室におけるPM2.5の測定・評価方法の検証
研究指導員:鍵直樹(東京工業大学環境・社会理工学院建築学系 教授)
粒径2.5 µm以下の粒子を対象とした微小粒子状物質(PM2.5)について、粒径の小さな粒子の方が人への健康影響について深刻なことから、大気環境において基準が設けられている。しかしながら建築物内では建築物衛生法において、粒径10 µm以下の浮遊粉じんについての基準があるのみで、PM2.5については基準値及びその他各学会の規準などはないのが現状である。一方、建築物衛生管理に関する検討会において浮遊粉じんに代わり、PM2.5について管理基準項目の追加の検討が進められており、実態の把握及び測定手法の検討が急務である。
そこで本研究では、建築物室内PM2.5濃度の実態把握として室内環境で適用できる小型測定機器を用いた実環境における室内PM2.5濃度調査を行った。測定の結果、空調方式及び使用フィルタによる粒径分布の違いが測定値に影響を及ぼす可能性が示唆された。また10 µg/m3以下の低濃度域についての測定精度が課題として挙げられた。課題の解決として、ナノ粒子粒径分布計測器を用いた測定や室内環境に適した測定手法について引き続き検証が必要である。