2025.04.07調査研究
近年の水景施設のシステムと維持管理状況に関する調査
研究代表者:小瀬博之(東洋大学)
公園や建築物のエントランスなどに設置され、噴水、落水、流水、溜水の施設形態を持ち、水を循環させたり浄化させたりする設備を備えた水景施設は、シンボルとして親しまれ、水に触れたり、水やその動きに連動する光の演出を眺めたり、水音や連動する音楽を聴いたりするなど、さまざまな演出が見られる。一方、設備や衛生の観点からすると、情報提供は十分であるとは言えず、利用者がリスクを把握できるようにはなっていないと考えられる。そこで本研究では、これまでに分類されている水景施設の再分類を提案するとともに、特に飛沫が発生しやすい施設形態である噴水や落水を中心とした水景施設の稼働状況等を文献や現地調査により把握した。現地調査では施設形態や稼働状態、人の行動等を把握するとともに、特に掲示物などで利用者が現場の水景施設に関する情報を把握できるかどうかに着目した。
調査を春期に行ったこともあって、稼働していない施設もあったが、すでに長期間稼働していないと思われる施設も多く見られた。また、かつて水景施設が存在していた場所が撤去されて広場となっている例も見られた。噴水や落水においては、風の影響などにより飛沫が周辺に飛散している状況を確認した。近年の広場等で多く見られる「ドライ式噴水」と呼ばれる噴水池を持たない形式の噴水を重点的に調査したところ、特に子どもが噴水に引き寄せられる様子が確認できた。水景施設周辺の掲示の状況を把握したところ、稼働時間や期間に対する記述や水濡れや滑りなどの安全上のリスク、飲めないことなど衛生上のリスクが書かれていたが、十分な情報提供がなされていない状況が明らかとなった。