2018.04.30調査研究

室内環境中のオフィス用品等による放散VOCの影響に関する調査研究

研究指導員:鍵直樹(東京工業大学環境・社会理工学院建築学系 准教授)

厚生労働省の室内空気汚染問題検討委員会では、室内濃度指針値の見直し等を行っている。未規制物質である2-エチル-1-ヘキサノール(以下、2E1H)が総揮発性有機化合物(以下、TVOC)の暫定目標値(400 mg/m3)を超える事例も報告されており、特定建築物内の2E1H濃度について、11施設、全15箇所において調査を行った。測定対象ほとんどの建物で相対湿度が不適、2箇所で換気量不足が示唆された。2E1Hは濃度指針予定値130μg/m3を3箇所で超過した。最大値は5.0 μg/m3、最小値はの2.0μg/m3で、平均43.8μg/m3であった。コンクリートに直接タイルカーペットを施工していた測定箇所は2箇所あり、いずれも指針予定値を超過した。コンクリートに直接塩ビシートを施工していた測定箇所は4箇所あったが、今回の測定では10.520.7μg/m3にとどまった。OAフロアにタイルカーペットを施工していた測定箇所(6箇所)のうち1箇所は151.1μg/m3と超過する結果となった。その他の5箇所中4箇所については、6.39.3μg/m3と低濃度であったが、1箇所が47.0μg/m3と超過していないものの、他の測定箇所より高く、二次発生以外の要因でも高濃度になることが明らかとなった。既往研究の報告では2E1Hの主な発生はコンクリート由来のアルカリ性水溶液とDEHPの加水分解による二次発生と報告されていたが、それ以外の要因でも発生していることが示唆された。本調査のような低湿度環境でも2E1Hは全ての箇所から検出され、指針予定値を超過するものも存在した。夏季など相対湿度が高くなる季節では、より高濃度の2E1Hが発生していることが考えられる。また、換気量が少ない場所では2E1Hが高濃度になる可能性があることが示唆された。

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