2018.04.27調査研究

建築物における床材の種類・汚れによる室内照度環境への影響調査

主任研究者:正田浩三(東京美装興業株式会社 技術顧問)

建物室内照明の明るさが、床、天井および壁の綺麗さが関係しているかを知るため、メンテナンス関係・清掃関係のアンケート調査と照度・輝度・反射率・汚れ具合棟の実態調査を行った。アンケート調査は、東京都内と名古屋の28ビル(大学4、商業施設11、事務所13)の設備責任者に行った。実態調査は、名古屋5ビル、東京都内4ビルで実施した(大学3,商業施設1,事務所5)。アンケート調査の結果は、蛍光灯を取り替えるのは「切れた」が最も多く50%で、以下「点灯が始まる」32%の順であった。用途別では、商業施設での交換が最も多かった。LEDへの蛍光灯の交換で平均23%であり、用途別では商業ビルが最も多く37%であった。照明器具が汚れる場所は、駐車場28%で最も多く、次に設備機械室、駐車場の順であり、外気が入る場所が汚れる結果となった。また、天井、壁、床の「綺麗さと室内の明るさの関係を感じるか」では、約90%が感じると回答した。しかし、実際に天井、壁面の清掃を一度も行っていないビルは42%であった。実態調査では、築年数により反射率が低下し、それに伴い照度も低下するとの仮説を立てた。しかし、実際には汚れが築年数に比例することは限らないことが判明した。清掃頻度やその室が同等である大学内での測定に着目すると、築年数の経過に比例して照度の低下が確認できたため、同じ清掃環境であれば築年数の影響を受ける可能性が示唆された。しかし、清掃頻度や質が異なるビルでは、築年数の影響よりメンテナンスや清掃による影響が大きく、照度が築年数に比例しない結果となった。また、統計解析の結果より照明器具の光束量が大きい場合に「明るさ感」、「まぶしさ感」が高くなる傾向を示したが、実際の照度に影響を与える項目として反射率の影響が大きかった。以上より、必要照度を確保し、快適な照度環境を維持するためには、内装材の定期的メンテナンスと清掃をするのが有効であると考える。

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