2017.04.28調査研究

パーソナル空調を用いた空間の室内環境測定法に関する調査

主任研究者:林基哉(国立保健医療科学院 統括研究官)

本研究はタスク・アンビエント空調やパーソナル空調の事例を調査し、その室内環境の実態を把握して、評価方法の基本的な考え方を示すと共に適切な評価法確立の基礎とすることを目的としている。パーソナル空調はアンビエント域といった室内空間全体の環境調整ではなく、人体近傍の狭い空間を対象として体感などの感覚環境、空気質と共に環境選択権や自己効力感を与えることで快適性向上を図るシステムである。事例および既往研究の調査結果によると、事務所建築で採用されるパーソナル空調は冷房を目的としている場合が多く、伝熱原理は対流および放射、調整器具の位置は天井吹、床吹、デスク、椅子などがある。環境調整原理や適用器具によって、人体近傍の温度、気流、空気質(二酸化炭素濃度等)分布が異なる。従って、従来の空間を対象とした温熱評価とは異なる環境性能評価が必要となり、被験者実験やサーマルマネキン、数値解析などによる研究が行われている。代表的な天井吹型およびデスク型を対象に、典型的な空間を想定して冷房条件に対するCFD解析を行った。

建築物衛生法に基づく衛生管理基準項目の中で、温度、気流、二酸化炭素濃度に着目し、更にSET*、PMVについても空間分布を求めた。結果、検討項目において、タスク域では不均一性が強いのに対してアンビエント域では比較的均一な状況であった。

建築物衛生法におけるパーソナル空調の環境性能評価の可能性について考察した結果、建築物衛生管理のためのパーソナル空調に関する評価について、以下の課題が挙げられた。

・タスク域の測定評価方法を開発する。

・総合的温熱指標等を用いた環境衛生管理基準を設ける。

・タスク域とアンビエント域の測定結果を総合評価する方法を開発する。

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