2017.04.28調査研究
チカイエカの誘因波長
主任研究者:木村悟朗(イカリ消毒株式会社技術研究所)
本研究は、チカイエカの誘引波長を明らかにするために、単一の波長ピークを持つLED光源を用いて捕獲試験を行った。波長特性の異なるLED光源は光特性も異なることから、走光性(誘引特性)を明らかにするためには、光特性を統一が必要であった。本試験の光量は、近年のLED試験で多用されている単位である光量子束密度を使用した。LED光源は365、450、520、580、および630nmにピークを持つものを一定の光量子束密度(2.6×1011 photons・cm-2)で使用した。供試虫としては薬剤感受性・抵抗性チカイエカを使用した。
LED光源によって捕獲数は異なった。薬剤感受性チカイエカは雌雄の総捕獲数ともに365nmの捕獲数が最も多く、次いで520nmであった。一方、630nmについては雌雄の各総捕獲数ともにブランクの総捕獲数よりも少なかった。チカイエカは赤色LED光源に負の走光性がある可能性があり、更なる検討が必要と考えられた。
薬剤抵抗性チカイエカにおいても、LED光源によって捕獲数は異なった。雌雄の総捕獲数ともに365nmの捕獲数が最も多く、他の光源は同程度に捕獲された(ただし、薬剤抵抗性では580nmについては検討していない)。薬剤抵抗性系では反復試験を行っていないが、薬剤抵抗性系は630nmにも走光性を示す可能性があるなど、薬剤感受性系と薬剤抵抗性系との間に走光性の違いがある可能性がある。本試験に使用したLED光源の他に、375、385、395、405、470、500、610、700nmにピークを有するLED光源および白色LED光源を作成しており、今後は他の波長を含めて更なる検討が必要と考えられた。