2013.04.30調査研究

蒸暑地域の特定建築物における節電要請下の室内環境に関する研究

主任研究者:田島昌樹(高知工科大学)

今般の電力不足に起因する節電要請のため建築物における室内空気環境の悪化が懸念されている。特に本年度は四国電力管内においても節電が要請されており、蒸暑地域とされる高知県において、節電要請がなされている夏季および冬季を対象とした連続的な室内空気の実測と節電行為に関するアンケート調査を実施することによる現状把握と結果の分析を目的として研究を行った。

特定建築物を中心とした事務用途室4件における室内環境の連続測定および節電に関するアンケート調査より以下の結果を得た。

1)温度について、夏季は節電要請の影響から室温の設定値が高く設定され、衛生管理基準を超える室が存在した。また同一組織の場合は、中央式よりも個別式を採用している室の室温が低く運用されている結果となった。冬季は平均温度が20~22℃程度で節電要請以前の全国データの平均値と比べて低い温度であった。

2)相対湿度について、冬季は測定対象の全ての室において衛生管理基準を下回り低湿度となった。また節電要請以前の全国データと比較したところ低い順位(悪い順位)となり相対湿度が40%RH以上となる時間がほとんどなかったことから、対象地区では特に冬季の加湿に関する課題があることが示された。

3)二酸化炭素濃度については、最も節電の影響が大きく、換気設備の運転停止による高い濃度の室がみられた。また個別方式で制御されている換気設備の室は、中央方式と比べて濃度が高く、加えて節電行為と二酸化炭素濃度との間に一定の相関関係が認められた。

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