2013.04.30調査研究

室内環境中の湿度及び粉じんの健康影響

主任研究者:角田正史(北里大学医学部 准教授)

室内空気環境を基準として、近年、特に感染症との関連もあり注目されている湿度と粉じんについて文献を収集し記述することで、室内空気環境基準による管理について考察・認識する資料とすることを目的とした。湿度に関しては古くからインフルエンザウイルスと相対湿度に関する研究があり、in vitro、モルモットを使った実験動物で、相対湿度が高い場合にウイルスの生存率が低下し、感染も起こりにくくなるとの結果が示されてきた。近年、絶対湿度がより有効な指標であるとの研究がなされ、絶対湿度11mg/m3以下になって流行が始まることが疫学研究で示された。気温と相対湿度から絶対湿度のレベルを意識し、加湿器による管理を強めることが現実的であるが、加湿器による加湿器肺の報告が数多くあり、加湿器自体の管理(加湿器水の管理)が重要である。高湿度の場合には、真菌、ダニの繁殖の問題が出てくる。粉じんに関しては、室内においてたばこ粉じんが問題になっていたが、健康増進法の施行、分煙の普及に伴い、改善が著しい。しかし、サービス業(飲食店など)においては未だたばこ粉じんの問題は大きい。室内粉じんに関連する真菌についても改善がみられている。ただし感染症に関して、ノロウイルス感染症が嘔吐物などが不適切に処理され、ウイルスが塵埃とともに残存し、舞い上がって吸入により集団感染を起こした事例が報告されるなど、新たに問題が生じる可能性があり、今後とも適切な粉じんに対する管理は必要であると考える。

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